柱時計の修理

築85年の滋賀の本宅(20数年空き家状態)、ここ数年前から高槻の自宅と滋賀の本宅との2重生活が始まった。

茶の間に創建当時から掛けられていた柱時計、細君がある日、この柱時計のねじを巻いて動かしてみた。意外や意外、なんと動いた、細君が感激し、それから本宅に見学のお客様が来ると必ずねじを巻き動かしていた。

先日、滋賀の本宅に帰ったとき、動かなくなってしまった。「お父さん直せる?直して!」と細君の願い。症状を聞くと、動かして5~10分もすると振り子が止まってしまうとのこと。振り子時計の仕組みは概念的には理解しているので、トライしてみることにする。

恐らく、がんぎ車とアンクルの辺り、歯車の軸受け部の汚れが原因と思い分解掃除することに。筐体につけられた扉を外し、次に長針、短針を外しそして文字盤を外す。最後にメカ部分を取り出す。

筐体に各部品を取り付けていた木ねじは、しっかりと錆が回っている。また文字盤は経年劣化で塗料がはがれているところも多数ある。文字盤をきれいにリペアしようかと考えたが、このままの方が時代を感じさせると思い、劣化がこれ以上進行しないようにクリアラッカーで養生することにする。

パーツ類はどれもきれいな状態、軸受け部もさしたる汚れは無い。動力源のゼンマイも錆は見られずガンブルーの黒光りする光沢を放っている。

軸受け部をベンジンを含ませた綿棒の先で掃除してやる。綿棒の先が真っ黒に、第一歯車から順に軸受け部を掃除する。そして歯車の嚙み合わせ部分も掃除する。最後に軸受け部分、歯車にしっかりとマシン油を指してやる。そして、元の状態に組み立てる。この時錆の回った木ねじは錆を落としておく必要がある。

柱にかけ、祈る気持ちで動かしてみる。振り子を振ってみると、左右に振れる間隔が少しずれている。左右の振れの間隔を均等になるように垂直の方向の傾きを調整してやる。5分過ぎ、10分過ぎても快調に動いている。1時間経過後、時間を合わせ、そしてあくる日の朝、まだ動いている。時差は1分内にとどまっている。24時間経過後でも1分内である。

日差1分内ならOKとして作業を完了する。

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